開発コストを抑えて日本が独自開発した、大型輸送機C-2
今回は日本が独自開発した大型輸送機C-2のご紹介です。
大型輸送機C-2は、川崎重工業において小型輸送機C-1の後継機として開発されました。2016年6月末、川崎重工業はC-2の量産初号機を岐阜工場南工場で防衛相に引き渡されました。そんなC-2はどのような特徴を持っているのでしょうか。
C-2開発の経緯やコンセプト
C-2の納入は、C-1の初号機の引き渡された1973年以来、新型国産輸送機の納入としては43年ぶりのことになります。C-1や輸入したC-130Hなどは、戦術輸送機として長く使用されている機体です。しかし、C-1が耐用飛行時間を迎えることで、後継が検討されたのがC-2開発のきっかけとなりました。
C-2が開発されたのは2000年のことで、防衛省技術研究本部と川崎重工業によって進められました。国際平和協力活動の対応など自衛隊の各種任務を効率的に行うというのを目的に開発が進められました。C-2は開発コスト削減のため、新型国産哨戒機P-1と同時に開発され、多くの共通部品やシステムが使われています。
C-2は、従来のC-1と比べて大搭載量・長距離航続・高速巡航という高い性能がコンセプトになっており、戦後、国内で開発する期待としては過去最大で、仕事量の低減や離島防衛の強化に貢献できるとして注目されました。また陸上自衛隊の海外派遣や在外邦人の退避、大規模災害時の輸送などがでの利用も期待されています。
C-2のスペックは?
• 全長:43.9m
• 全幅:44.4m
• 全高:14.2m
• 最大離陸重量:141t
• 巡行速度:890 km/h(高度12,200 m)※C-1の1.2倍
• 最大速度:912 km/h
• 最大積載量:36 t(2.25G)※C-1の3倍
• 航続距離: 9,800km/0t、7,600km/20t、4,500km/36t
[情報元:wikipedia]
C-1を大きく上回る性能を盛り込んだC2は、エンジンはアメリカのGE製CF6-80C2を2基搭載しているほか、スラストリバーサーで自力後進も対応しています。ヘッドアップディスプレイをコックピットに装備し、操縦システムにはフライバイワイヤを採用しています。また、C-2は前部胴体と水平尾翼には川崎重工業が開発した「KMS6115」が採用されています。これは航空機用炭素繊維強化複合材料のことで、従来よりも軽くて強い低コストを実現したものです。
元々は2014年度末に美保基地に配備する予定とされていましたが、機体の強度不足等で再設計し、2016年末に納入、正式な開発完了は2017年3月27日です。その際には、C-2として正式に採用され、部隊使用も承認されました。
岐阜工場で納入式が開催され、川崎重工業は、「C-2は国内で最大の航空機であり、最新技術が盛り込まれているため、各種試験・部隊運用でも能力向上に向けた支援ができる」としています。納入先である美保基地では「Blue Whale(シロナガスクジラ)」という愛称が付けられました。C-2は2018年9月まで運用試験を行い、各基地に配備・運用が開始しています。
東日本大震災時や大規模災害時には、本州だけでなく沖縄の陸上自衛隊車両も数多く運ばれました。しかし、当時の国産輸送機での輸送は困難であり、豪軍から派遣されたC-17が使われたのです。C-2は、それに匹敵する災害支援に貢献できるとされているのです。また、C-2は自衛隊の地対空誘導弾PAC3や水陸両用車も積めるようになっているため、活動の幅が大きく広がっていると言えるでしょう。
【濱西慎一から最後に】
防衛省と川崎重工業が開発したC-2についてご紹介してきました。C-2はC-1を大きく上回る性能を備え、これまでよりも仕事量の低減や離島防衛の強化に貢献できると考えられるでしょう。川崎重工業は、今後も技術を継承していき、さらなる輸送機の開発に取り組むとしています。今後も、国産輸送機の開発が進む可能性も高いのではないでしょうか。
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