開発コストを抑えた国産ジェット哨戒機(P-1)

今回は日本が独自開発したジェット哨戒機(P-1)のご紹介です。

P-1をご存知の方はどのくらいいるでしょうか。ジェット哨戒機は海上自衛隊がすでに実用化している純国産機です。ジェット哨戒機にはどのような目的・特徴があるのでしょうか。以下で解説していきます。

P-1はどんな機体?国内で独自開発している

P-1ジェット哨戒機は、防衛省技術研究本部と川崎重工業が開発した純国産機で、国産ジェット旅客機(Mitsubishi SpaceJet)よりも大型の機体となっています。製造も川崎重工業が務めており、現在は海上自衛隊が保有・運用する固定翼哨戒機です。

全長38.0・全幅35.4・全高12.1mで、機体やエンジン、任務システムに至るまで純国産で開発されました。速度・航続距離・搭載量は最新技術を用いて高い性能を実現しており、海上自衛隊のP-3Cの後継機となりました。

P-1の仕様や特徴について

P-1哨戒機の特徴としては4基のエンジンを搭載しています。アメリカの新型哨戒機(P-8)のエンジンは2基であるため、中には4基の必要性を問う方もいると言います。それには理由があり、洋上進出と滞空パトロールにあたり十分な余裕を持って運用するべきだと考えたからだとされています。

パトロール海域から帰投する際に、万が一エンジン1基が故障した場合、推力の左右非対称を最低限に留められるというメリットがあるのです。より長距離の進出や長時間滞空を可能にするためには、エンジン2基の双発機よりも4発機の方が適しているのです。また、P-8より低空での低速性能に優れています。その他、HUDディスプレイを採用、コックピット横の窓が大きめで視界が良いことや静穏性にも優れています。

ジェット哨戒機は2017年6月のパリ航空ショーにおいて、初めて海外での展示をしています。2018年4月にも、ベルリン国際航空宇宙ショーで海外発となる飛行デモンストレーションを実施するなど、性能・防衛装備・技術協力の進展を図っているのも特徴です。

C-2輸送機と同時開発し開発コスト削減

元々、海上自衛隊は川崎重工業にがライセンス生産したアメリカの対潜哨戒機ロッキードP-3Cオライオンを利用していました。しかし、更新時期が迫ったのをきっかけに国内技術育成を検討し、国産開発や次期哨戒機P-X・C-X次期輸送機の同時開発を図ったのです。両機種を同時開発し、一部の部品を共用化することでコスト削減を図るのに成功し、両機合わせて3400億円の開発費となっています。

川崎重工業は、P-2対潜哨戒機(ロッキード)をライセンス生産していた実績がありました。国産開発方針を採って以降、川崎重工業は国産4発ジェット哨戒機を構想したと言われています。実際に国産の試験機の製造が開始されたのは2003年で、飛行試験機は2004年に製造開始となっています。

実際に部隊配備されたのは2013年3月からで、国内の広大な海域の長時間哨戒任務を遂行する目的で運用されています。最初の2機は2013年3月29日に厚木基地に配備されました。

【濱西慎一から最後に】

P-8はボーイング737旅客機をベースに作られましたが、P-1は哨戒機とし海洋国家の日本の地理的特徴を慮してて新規開発された機体です。C-2と部品を共用し費用を削減する方法が合理的で素晴らしいですね。また日本の航空機製造技術維持・向上の観点からも良いプロジェクトだったのではないでしょうか。

濱西慎一 注目の戦闘機

戦闘機の胸を貫く轟音と爽快な機動飛行には魅了されますよね。濱西が注目する日本で開発された様々な機体をご紹介していきます。